有川浩 阪急列車について。~恋愛と社会風刺、ときどき本音~

あ~、有川浩は、文章漫画やからな。

これは小学生のころ、読書にハマりだし、「あ」の書架をあさっていたところ発見し、こんなに面白い本が世の中にあるのか、と彼女の作品を紹介したくりりん少年に、国語の先生が告げた一言だ。

その時は何かバカにされたような気がして、そうですか、と拗ねてしまったわけだが、後から考えてみると これは称賛の言葉だったのか?とも思えるのだ。

そもそも小学生で図書室や図書館に通い詰める、という児童は少ない気がする。単に僕の小学校の児童数が少なかっただけだろうか。よく休み時間サッカーをしている男子に好きな本は何かと聞くと、かいけつゾロリと答えてくれた。

確かに。原ゆたか先生の手掛けるゾロリシリーズはめちゃくちゃ面白かった。

特に記憶に残っているのが、双六の世界か何かだろうか。車か馬かを選んで9のマス?に臨むところ、「車は急(9)に止まれなーい」と意気揚々とゾロリが馬に乗って長距離ジャンプしていくシーンだ。

僕はもちろん車のほうが馬力あるだろ…と思っていたため、しっかりと度肝を抜かれたわけである。

なぜおもしろいのか。やはりイラストの占める部分が大きいからであろう。つまり小学生にとって漫画とは最高の娯楽だと、某先生が考えていた可能性は低くない。とすればそれに近似したものとはつまり、素晴らしいものだと伝えたかった…いいように解釈する天才、僕の手にかかればこんなもの朝飯前である。

さて、有川浩が今津線沿線に住んでいた頃、発案したのがこの作品だ。

ジャンルは得意の恋愛、そして社会風刺的な・・・今でいうスカッとジャパン、みたいな物語要素も絡んでいる。一般的な、普段あまり本を読まないような女子高校生でもすらすら楽しく読破できるコメディの入ったラブ、ベタ甘ラブコメを書かせれば、この方の右に出る作家はいないと僕は思う。僕が好きなのはクジラの彼と植物図鑑。映像化もされる作品が多いため、取っつきやすさは群を抜いていると思うがどうだろうか。

特徴でいえば、短編的に登場人物、もといカップルたちが登場しーーおばあちゃんが主人公の章もあるがーーそれらが少しずつ干渉し合っている。

具体的に言えば、電車の中、征志がユキと初めて会話をした、恋の始まりの瞬間という物語が第一章とする。同じ電車の中で、その会話を聞いていた、結婚間際に彼を同僚に寝取られた翔子が主人公の物語が第二章、という具合に。

しかも各章の題名は駅の名前で、折り返しまであるという、なんともオシャンティーな仕様だ。

僕はこの手の、さっき脇にいた人が主人公になるの?!という作品群が大好きなのだ。作品群といった割には、今僕の中に浮かぶ傑作は…徒然チルドレンとかだろうか。青春真っ盛り、という学園ラブコメだ。僕の学園時代はといえば、男子しかいないクラスにてtwitterで若林先生が載せてくれるそれを延々とスクロールしていたのだから、世の中は実に不公平といえよう。

阪急電車のエピソードの中で最も好きなのは、前述した翔子と、仲間外れにされている少女ショウコの言葉を交わす場面だ。

こんな年でも少女たちはもう女だった。卑しく、優柔不断で、また誇り高い。

阪急電車 有川浩

好きな一文だ。なんだか、わざわざ有川浩が書くからこそ響くという感じがして。

まあ。もっとふわふわとしたゴンちゃんの場面など、かわいい文も盛りだくさん。男女問わず、誰でもゴンちゃんというあだ名を恥ずかしがる権田原美帆さんには萌えるだろうと思う。

映画化もされている。おばあちゃん、キャスティング最高。

かっこいいおばあちゃんが好きだ。サマーウォーズの栄おばあちゃんとか、ラピュタのドーラとか、ターミネーターのサラ・コナーとか。

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